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「学習指導要領」関連資料 (2008/3/6)
  ② 思考力・判断力・表現力等の育成──知識・技能の活用重視──
 
(4) 思考力・判断力・表現力等の育成
 
○ 3.で示した子どもたちの学力に関する各種の調査の結果は、いずれも知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等に課題があることを示している。今回の改訂においては、各学校で子どもたちの思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむために、まず、各教科の指導の中で、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、観察・実験やレポートの作成、論述といったそれぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を充実させることを重視する必要がある。各教科におけるこのような取組があってこそ総合的な学習の時間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動も充実するし、各教科の知識・技能の確実な定着にも結び付く。このように、各教科での習得や活用と総合的な学習の時間を中心とした探究は、決して一つの方向で進むだけではなく、例えば、知識・技能の活用や探究がその習得を促進するなど、相互に関連し合って力を伸ばしていくものである。
 
○ 現在の各教科の内容(*1)、PISA調査の読解力や数学的リテラシー、科学的リテラシーの評価の枠組み(*2)などを参考にしつつ、言語に関する専門家などの知見も得て検討した結果、知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、例えば、以下のような学習活動が重要であると考えた。このような活動を各教科において行うことが、思考力・判断力・表現力等の育成にとって不可欠である。
 
① 体験から感じ取ったことを表現する
(例)・日常生活や体験的な学習活動の中で感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体などを用いて表現する
② 事実を正確に理解し伝達する
(例)・身近な動植物の観察や地域の公共施設等の見学の結果を記述・報告する
③ 概念・法則・意図などを解釈し、説明したり活用したりする
(例)・需要、供給などの概念で価格の変動をとらえて生産活動や消費活動に生かす
・衣食住や健康・安全に関する知識を活用して自分の生活を管理する
④ 情報を分析・評価し、論述する
(例)・学習や生活上の課題について、事柄を比較する、分類する、関連付けるなど考えるための技法を活用し、課題を整理する
・文章や資料を読んだ上で、自分の知識や経験に照らし合わせて、自分なりの考えをまとめて、A4・1枚(1000字程度)といった所与の条件の中で表現する
・自然事象や社会的事象に関する様々な情報や意見をグラフや図表などから読み取ったり、これらを用いて分かりやすく表現したりする
・自国や他国の歴史・文化・社会などについて調べ、分析したことを論述する
⑤ 課題について、構想を立て実践し、評価・改善する
(例)・理科の調査研究において、仮説を立てて、観察・実験を行い、その結果を整理し、考察し、まとめ、表現したり改善したりする
・芸術表現やものづくり等において、構想を練り、創作活動を行い、その結果を評価し、工夫・改善する
⑥ 互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させる
(例)・予想や仮説の検証方法を考察する場面で、予想や仮説と検証方法を討論しながら考えを深め合う
・将来の予測に関する問題などにおいて、問答やディベートの形式を用いて議論を深め、より高次の解決策に至る経験をさせる
 
○ これらの学習活動の基盤となるものは、数式などを含む広い意味での言語であり、その中心となるのは国語である。しかし、だからといってすべてが国語科の役割というものではない。それぞれに例示した具体の学習活動から分かるとおり、理科の観察・実験レポートや社会科の社会見学レポートの作成や推敲、発表・討論などすべての教科で取り組まれるべきものであり、そのことによって子どもたちの言語に関する能力は高められ、思考力・判断力・表現力等の育成が効果的に図られる。
 このため、学習指導要領上、各教科の教育内容として、これらの記録、要約、説明、論述といった学習活動に取り組む必要があることを明示すべきと考える。
 
○ その際、生命やエネルギー、民主主義や法の支配といった各教科の基本的な概念などの理解は、これらの概念等に関する個々の知識を体系化することを可能とし、知識・技能を活用する活動にとって重要な意味をもつものであり、教育内容として重視すべきものとして、適切に位置付けていくことが必要である。
 
○ 思考力・判断力・表現力等の基盤となる言語の能力の育成に当たっても、発達の段階に応じた指導が重要である。幼児期から小・中・高等学校へと発達の段階が上がるにつれて、具体と抽象、感覚と論理、事実と意見、基礎と応用、習得と活用と探究など、認識や実践ができるものが変化してくる。
 このため、小学校の低・中学年の国語科において、音読や漢字の読み書き、暗唱などにより基本的な国語の力を定着させるとともに、古典の暗唱などにより、言葉の美しさやリズムを体感させた上で、小・中・高等学校を通じ、国語科のみならず各教科等において、記録、要約、説明、論述といった言語活動を発達の段階に応じて行うことが重要である(*3)。
 
○ なお、(3)で示した「重点指導事項例」には、基礎的・基本的な知識・技能の習得に関する例示とともに、知識・技能のようには具体的に示すことはできないと考えられるが、思考力・判断力・表現力等にかかわるものについても例示し、各学校において、これらの力の育成にしっかりと取り組むようにすることが必要である。
 

(*1)現行学習指導要領の小学校の理科は、第3学年は「比較」、第4学年は「関係付け」、第5学年は「条件制御」、第6学年は「多面的な追究」などそれぞれの学年ではぐくむべき科学的な見方や考え方を明確にしている。

(*2)PISA調査では、それぞれの領域で、思考のプロセスを、
・読解力は、「情報の取り出し」、「テキストの解釈」、「熟考・評価」、
・科学的リテラシーは、「科学現象の描写、説明、予測」、「科学的調査の理解」、「科学的証拠と結論の解釈」、
・数学的リテラシーは、「再現クラスター」、「関連付けクラスター」、「熟考クラスター」、
に分けて測定している。

(*3)例えば、理科では、・小学校中学年では、植物の観察などにおいて、問題意識や見通しをもちながら視点を明確にして、差異点や共通点をとらえ記録・表現する、
・小学校高学年では、ものの溶け方などにおいて、条件や規則性に着目して事象を説明する、
・中学校から高等学校の段階では、観察・実験の結果や状況により資料等を加え考察し、科学的な概念を理解し、実証性・再現性・客観性などの視点から評価、論述したり、討論する、といった発達の段階に応じた言語活動が考えられる。

 
(中央教育審議会答申「5.学習指導要領改訂の基本的な考え方」より)
(*)注釈番号は、編集の都合上加工しております。
 
 
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