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学校経営大賞
第4回 ENTRY No.2
地域に開かれ信頼される学校の創造
――松小応援団の結成

前東京都江戸川区立松本小学校
校長 小原サナヘ
(2010/4/26)
 
 「今年の梨は、色づきが早いね。実が落ちないといいね」。学校の前のバス停で、バスを待つ地域の方々がそんな会話をしているのを耳にした。

 松本小学校は全校児童408名(当時)、住宅地にビニールハウスや畑が点在する地域にあり、特色ある教育活動として15種類100本以上の「実のなる木」を育てている。1年生「みかん」、2年生「銀杏」「ブルーベリー」、3年生「小松菜」、4年生「梨」、5年生「さつまいも」、6年生「さくらんぼ」「びわ」「柿」を担当し、調べ学習をしたり受粉・剪定・摘果・施肥などのお世話をしたりする。開校以来37年になるが、当時より植えられた「梨」の木40本は体力が落ち、このままではみんな途中で実が落ちてしまう。地域のお年寄りもとても心配していた。

 なんとかしなければ……。

 
 
校長として取り組んだこと

 学校は様々な課題を抱えている。「もっと学力の向上を」「あいさつがきちんとできる子に」「思いやりがあり、人の心の痛みがわかる子に」「怪我なく、無事安全に健康で過ごしてほしい」「社会性があって、コミュニケーション力をつけていきたい」「困難に出会っても逞しく生き抜くように」「根気強く打ち込んでほしい」などなど枚挙に暇がない。なぜなら、私たち大人は次代を担う子どもに大きな夢を託し、よりよい生活をと願っているからである。

 これらの願いを実現するには、学校だけでは充分にできない。そこで、これまで様々な形で学校を支援してくださっている方々に組織として学校を応援していただくことにしたいと考え、学校評議員会に相談した結果、「松小応援団」を結成することとした。

 
 
特色ある取組みと成果

学校応援団の組織
 まず始めに学校応援団の核となる団長・副団長・分団長を決める。団長には、学校の教育活動をよく理解し、地域にも明るくコミュニケーション力をもっている人が望まれる。松本小は7名の学校評議員の方々に話し合っていただき、一人の方を推薦した。

日頃より、よく学校に足を運んでくださり、教育活動や学校運営も理解しており、「すくすくスクール」のセンター長でもあるために児童の実態もよく知っている人物である。幸いにも快く引き受けてくださり、副団長については、現PTA会長と前PTA役員の方が推薦された。さらに、第1回応援団会議で元PTA会長も推薦された。応援団メンバーは、(1)学習支援団、(2)学習環境支援団、(3)安全安心支援団、延べ118名になり、その他に民生児童委員・人権擁護委員・保護司・警察等多くの地域の方々・関係諸機関にもご協力いただいている。

各分団の活動
(1)学習支援団
 ① 学校評議員による授業力向上のための授業診断
 ② 江戸川総合人生大学の卒業生「ゆうほの会」の方々による算数学習支援 
 ③ 家庭科学習のミシンボランティア
 ④ 月に1回全学級において朝読書時に読み聞かせする「心のごはん活動」
 ⑤ 特技ボランティアとしてのゲストティーチャー
  ・地域の伝統工芸「しめ縄作り」の体験学習 3年生
  ・「茶道体験」を通しての人権教育
  ・「戦争体験」の話 6年生
  ・将来の夢に向けての「進路指導」の話・「中学校生活」についての話 6年生
  ・地域産業「小松菜作り」の指導 3年生「さつまいも作り」の指導 5年生
  ・自動車工業の学習におけるゲストティーチャーの招聘 5年生
(2)学習環境支援団
 ① 「実のなる木」を守るグリーンボランティア 
 ② 図書館改造支援図書ボランティア
 ③ 飼育・花ボランティア
(3)安全・安心支援団
 ① 町会役員や地域の敬老会の人々による「子ども見守り隊」
 ② グループ活動も安心して実施できる「引率ボランティア」

 
 
活動の成果

 「『子ども見守り隊』に登録してくれた50軒の家は一軒ずつ回って挨拶をしなければならない」と言った応援団長の意気込みと行動力は大変嬉しかった。グリーンボランティアでは、約30人近くの方、植木専門家や祖父母、地域の人々が暑い夏も寒い冬も100本以上の「実のなる木」の剪定や摘果、消毒や施肥等を行ってくださり、梨の木もしっかりした実をつけた。「心のごはん活動」では、実施後児童の反応や感想などを話し合い、「けんかが収まったり、集中する児童の目を見たりして、読書というのは威力がある」という意見が出、お互い情報交換をするなど交流を図っている。飼育では委員会の児童と一緒に活動をしてくださったり、花ボランティアの方は、松の木の藁囲いなどもしてくださったりした。

 学校応援団の活動を通して、学習環境が整い学習成果が上がり、児童の安全・安心の確保が図れたばかりでなく、地域の人々との新たな「顔の見える関係」が生まれたということが、大きな成果と言える。お陰で、明るい挨拶がこだまするようになった。また応援団の方々からは、学校という場で自身の「やりがい」や「生き甲斐」を感じたという声を聞くことができた。

 学校応援団を創り上げるには、学校と学校経営方針を理解する地域の人々の存在が不可欠である。学校は、いかにその理解者を増やし、地域力を活用して学校力を向上させていくかが重要課題である。さらにどのように組織として築き挙げ、活動を展開していくかが大切である。

 松本小は、普段から地域の人々がよく学校に来てくださり、学校を支えてくださっている恵まれた環境にある。今回はこの環境を組織として打ち立て、児童の学力向上と健全育成という課題に向けて、大いに地域力を頂くと共に、地域の人々にとって「生き甲斐のある学校」を目指していきたい。「学校は地域と共にある」これが私のモットーである。

 
 

 


 
 
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